キプロスでの法人登録手順:ステップバイステップガイド

税率が低く、戦略的な立地にあるキプロスは、ヨーロッパ有数の法人設立拠点として定着しています。 当記事では、キプ…

Cyprus

キプロスは、EU、独立国家共同体 (CIS)、アフリカの三差路に位置する戦略的立地にあり、起業家にとって有利な条件や優遇税制、そして質の高い暮らしにより、ヨーロッパ有数の法人設立拠点として定着しています。

Microsoft、Amazon、Googleといった世界の大企業がこの島に押し寄せる中、他の多くのテクノロジー企業や金融サービス企業も後に続いています。

こうした企業への仲間入りをご検討中でしたら、法人登録に必要となる要件や手続きを知っておく必要があります。

キプロスでの法人登録手続きはごく簡単で、手続きは数日で完了します。 当ガイドでは、メリットや費用、デメリットからステップ・バイ・ステップの登録手続きまで、初めに知っておくべきことをすべてご紹介します。

キプロスで法人登録するメリット

キプロスでの会社設立をご検討中でしたら、すでに参入している企業がたくさんあります。 eToro、Wargaming、Brainrocket、MUFG、DataArtといった既存のテクノロジー企業、フィンテック企業、金融サービス企業が一例です。

それでは、キプロスが企業を惹きつけている代表的なメリットをいくつか見てみましょう。

1. 戦略的立地

キプロスは、ヨーロッパ、アジア、アフリカの三差路の地中海東岸という戦略的な位置にあり、さまざまな市場が近隣にあるため、海外への事業展開を目指す法人にとって理想的な場所です。

2. 優遇税制

キプロスでは法人税率が12.5%で、欧州連合 (EU) 内で最も低くなっています。 この税率は知的財産 (IP) 法によって、2.5%にまで引き下げることが可能で、テクノロジー企業や金融サービス企業も対象です。

さらに、キプロスは60ヵ国以上と二重課税条約を締結しているので、事業者が収益に対して二重に課税されないようになっています。

3. EU加盟国

キプロスは欧州連合 (EU) の加盟国であるため、EUの単一市場へアクセスできることで、商品、サービス、資金の自由な行き来が可能です。

このことは、ヨーロッパ全域での事業展開を検討している法人にとって特に有利であり、SEPA送金による支払い、入金受取りが容易になります。SEPA送金とは、ユーロ圏全域において資金を移動させるのに最も迅速で簡単かつ安全な方法の1つです。

4. 熟練労働者

キプロスは教育水準が高く、多言語に精通している労働者を有していて、人口の70%以上が英語に堪能です。これは、高報酬であるEUや米国の取引先をターゲットとしているグローバル企業にとっては好都合でしょう。

また、同国には世界中からテクノロジー、フィンテック、金融のプロが集まってきており、「頭脳流入」も進行中です。 米国、ヨーロッパ、イギリス、中東などから熟練のキプロス人を呼び戻そうとしている人材採用担当者もいるほどです。

キプロス国内の人材は豊富ですが、企業は最大5年間、熟練労働者のうち70%まで外国から雇用することも可能なので、すでに外国から1万人の熟練労働者がキプロスに移住しています。

たとえば、プロジェクト管理プラットフォームのWrikeは米国を拠点としていますが、従業員150人以上を同国に移住させたことで、CEO兼創立者のAndrew Filev氏によれば、「ヨーロッパの新たな技術拠点としてのキプロスの位置付け」に貢献しているといいます。

5. 投資家に優しい政策

キプロス政府は、外国人投資家に対し、事業立ち上げ支援や将来的な奨励金など、さまざまなインセンティブや支援を用意しています。

こうした政策により、同国ではテクノロジー企業が急増しています。2019年から2022年にかけて、IT分野だけで投資額が600%増となりました。

6. 先進的インフラ

キプロスでは、発達した通信システムや2つの国際空港などのインフラが整備されており、円滑な事業運営やインターネット接続を容易にしています。

こうしたインフラのおかげもあり、技術分野が急成長し、キプロス経済に推定30億ドルものお金がもたらされています。

また、キプロスは金融サービス企業を誘致しており、120の有限会計事務所、160の有限責任法律事務所、世界的な監査法人の拠点があります。

7. 成長分野

キプロスはヨーロッパの技術拠点としての地位を確立するべく取り組んでいますが、同国で急成長している分野には以下があります。

  • フィンテック — 現在300の企業があり、総資本は99億ユーロを超えます。
  • 情報通信技術 (ソフトウェア、デザイン、デジタルマーケティングを含む) — この分野で見せた成長により、欧州委員会はキプロスの予想成長率を5.6%に上げました。
  • スタートアップ企業 — 2022年には450を超えるスタートアップ企業があり、総額37億ユーロに達しました。

8. 質の高い暮らし

過ごしやすい気候、美しい景色、安全な環境といった質の高い暮らしができるキプロスは、企業が熟練労働者を惹きつけ、同国にとどまってもらうのに絶好といえるでしょう。

キプロスでの会社設立にかかる費用

キプロスでの法人登録にかかる実際の費用は、法人種別、会社立ち上げ時に利用する法務サービスプロバイダーなど、さまざまな要因によって変わってきます。 ただし、見込まれる費用の大まかな内訳は以下の通りです。

  • 登録手数料:1,200ユーロから4,000ユーロで、通常、法人登録完了後のサービスも含まれます。 登録手数料は500ユーロのみと謳う業者は、正式登録するのに必要だと言ってサービスの追加料金や隠れた手数料を請求してきますのでご注意ください。
  • 年間手数料:年ごとに支払うもので、以下が対象となります。
    • 名義株主および取締役:通常、会社の代理人となる法定代理人や会計士です。 株主の手数料は250ユーロ、名義取締役の手数料は400ユーロです。
    • 登記事務所:代表事務所または貴社の登記事務所の住所で、年間手数料は250ユーロです。
    • 秘書:キプロスでは法人は秘書を置くことが義務付けられており、年間手数料は250ユーロです。
  • 会計監査費用:貴社の年間取引き件数や利用する会計事務所の規模によって変わってきます。KPMGやPwCといった大手監査法人の場合は、手数料は高くなります。
  • 年次申告:毎年、法人登記局へ年次申告書を提出する必要があります。 申告書の印紙代は約100ユーロですが、申告書の準備および提出に際して会計士や法定代理人にも手数料がかかります。

キプロスで法人登録するデメリット

キプロスでの法人登録には多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットもありますので注意が必要です。

  • 税制:法人が12.5%の法人税率を適用されるのは、取締役としてキプロス居住者を1名以上指名した場合です。
  • 市民権:キプロスは2020年に富裕層の外国人投資家向けのゴールデンビザを廃止したため、投資によって市民権を取得することが困難になりました。
  • 匿名性:EU加盟国であるキプロスでは、取締役と株主全員の氏名を法人登記局のウェブサイトに掲載し、一般公開することが義務付けられています。
  • 銀行口座:キプロス国内の銀行は非居住者の口座開設には消極的です。非居住者として法人口座を開設する場合、納税者番号の取得が必要で、口座署名者は銀行支店での面談を求められることがあります。 また、入金の証拠書類を提出するまで銀行から口座を凍結されることがあるので、国際取引きにかかる手数料について必ずしも透明性が確保されているわけではありません。 Payoneerで、さまざまな通貨の安全な受取アカウントを取得することで、従来の銀行を利用するより費用を抑え、少ない手間でこれらの市場を活用している外国企業は多くいます。

非居住者によるキプロスでの法人登録可否

非居住者でもキプロスで法人登録ができます。 キプロス法人の株主には居住制限がないため、100%非居住者の株主で法人登記ができ、株主には個人でも法人でもなれます。

キプロスでの法人登録手順

キプロスでの法人登録を進める準備が整いましたら、以下の5つのステップに従ってください。

ステップ1. キプロス弁護士会に登録済みの弁護士へ依頼

キプロスでは、法人登録に必要なHE1フォーム、覚書、定款を作成できるのは、キプロス弁護士会に登録された弁護士のみと法律で定められています。

従って、登録手続きの第1ステップは、有資格の法律家に依頼することです。

ステップ2. 法人登記局・収益管理人 (Registrar of Companies and Official Receiver) にて社名申請

次のステップでは、法人登記局・収益管理人 (RCOR) に社名承認申請書を提出します。 この手続きは、ご自身で行うことも、代理人として選んだ弁護士に依頼することも可能です。

ステップ3. RCORへ書類を提出

貴社の法定代理人は、必要な情報の収集、書類の準備、国内銀行口座の開設、RCORへすべての必要書類の提出をします。

ステップ4. 登記簿謄本の受領

申請書と関係書類を法人登記局に提出し、必要な手数料を支払うと、会社設立が完了した旨の通知と、登記簿謄本、覚書と定款の謄本を受け取ります。

ステップ5. 税務局および社会保険サービスへの法人登録

法人設立後、税務局に登録の上、納税者番号およびVAT登録番号を取得する必要があります。 また、社会保険サービスへの登録も必要です。

キプロスで法人登録をしてビジネスを成功させるには

キプロスでの法人登録は比較的簡単で、グローバル市場への進出を検討している企業にとっては賢明な一手ですが、可能な限り低い費用で、迅速かつ安全な国際取引きができる、堅固な金融システムを備える必要があります。

そこでPayoneerです。送金、入金の受取り、または複数通貨で相当額の資金を保有する場合でも、手数料が高く、時間がかかることが多い従来の銀行送金に代わる効率のよい方法です。

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